リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症(PMR)とは

概要

リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、身体のさまざまな部位で痛みやこわばりを引き起こす炎症性の疾患です。特に頸部から肩、腰部から大腿などの近位部に症状が現れます。 この病気の原因はまだよくわかっていませんが、50歳以上でよく見られます。 リウマチ性多発筋痛症の症状は、関節リウマチを含む他の多くの病気の症状と似ているため、診断が難しい場合があります。 治療で予後が良好な場合が多いですが、日本リウマチ学会によれば約20%の患者には巨大細胞動脈炎(側頭動脈炎)という合併症が起こることがあります。

初期症状

個人によって異なることがありますが、一般的な初期症状には下記のようなものがあります。

  • 全身の疼痛:複数の部位での痛みや不快感が感じられることがあります。特に首から肩、臀部、腰から大腿などの筋肉が痛むことがあります。
  • こわばり:特に朝や長時間の静止後に、筋肉や関節が30分以上継続してこわばる感じがあることがあります。

これらの初期症状は他の病気や健康問題とも重複することがあるため、リウマチ性多発筋痛症の診断は専門医による詳細な評価が必要です。これらの症状が持続する場合は、専門医の診断と治療を受けることが必要です。 関節痛は手指や足趾などの小関節よりも肩や股関節などの大関節にみられ、関節が腫れる例は少ないことが、関節リウマチとの鑑別点です。全身症状として発熱、全身倦怠感、食欲低下、抑うつ状態、体重減少があります。

検査・診断

赤血球沈降速度やCRP(C反応性タンパク)で炎症について検査をします。滑膜病変のマーカーであるMMP-3を調べます。 リウマチ性多発筋痛症はリウマトイド因子、抗CCP抗体、抗核抗体といった自己抗体は通常は陰性です。さらに関節エコー検査をすることもあります。

治療

リウマチ性多発筋痛症の主な治療法は、ステロイド内服治療です。炎症を抑え症状を改善します。症状の再発を防ぐために、あせらず症状や血液検査で炎症反応の正常化を見ながら薬の量を減らしていき完治を目指します。再発しやすい場合にはステロイドを減量中止するために抗リウマチ薬を併用する場合もあります。

予後

リウマチ性多発筋痛症は巨細胞性動脈炎(指定難病)と関係していることがありますが、合併がなければ治療後の見通しは良好で、関節リウマチのように関節破壊を来たすことはなく、臓器障害を来たすこともありません。数か月から数年で病気の勢いが収束し、ステロイド治療が最終的に中止可能なこともあります。多くの例で2~3年は薬物治療を要します。また、一連の初回治療終了後10年以内に約10%の患者さんが再発する可能性があります。 病気そのものによって死亡率は高まりませんが、ステロイドによる副作用(感染症、糖尿病、高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症、緑内障、白内障、筋量低下など)の影響を考慮する必要があります。また、経過中に関節だけでなく悪性腫瘍を含めた他の合併症がないかを注意深く観察する必要もありますので、専門医と身体の状態を継続的に見守ることが必要です。

生活

治療を行うと、PMRの症状は通常、軽減または消失します。病気を管理するには、適切な栄養、活動、休息、および医師の指示通り内服することがポイントです。